情報指向型通信制御による有線ネットワーク高信頼化技術
概要
ヒト(操作者)とCA間の情報交換を高信頼、低遅延に行うため、次世代の通信アーキテクチャである「情報指向ネットワーク技術(ICN)」を応用・機能拡張した「情報指向型M×N通信制御技術(ICNx)」の研究開発を行います。ICNxは、コンテンツ名を通信識別子とした通信や、サーバーやクラウドに依存しない通信、ネットワーク内でデータをコピーし転送するマルチキャスト機能に加え、輻輳を抑えながらもスループットを向上させるコネクションレストランスポート機能や、複数ユーザー・複数CA間でデータ転送・共有を行うユーザー主導型の多対多マルチキャスト機能(M×N通信)を実現します。
これにより、有線・無線双方のネットワーク帯域が十分である環境下において、最大100 Mbpsの所望のスループットを満足しつつ、100ms以内のデータ転送遅延を維持可能な通信アーキテクチャを実現します。また高信頼通信のため、通信状態に適応した冗長データの転送によりデータ欠損を補う技術を開発し、符号化を用いたより高度な手法の適用についても考慮します。提案技術を具現化するため、オープンソースソフトウェアCeforeを用いてICNx通信プラットフォームを開発します。
Ceforeは国際標準化団体Internet Engineering Task Force(IETF)の姉妹組織であるInternet Research Task Force(IRTF)にて定義されたCCNxバージョン1プロトコルメッセージ(IRTF RFC8569, RFC8609)に準拠したソフトウェアであり、Linux(Ubuntu)およびmacOS上で稼働します。本研究開発課題では、CeforeベースのICNx通信プラットフォームに加え、ICNxアプリケーション用インターフェース(API)およびスマートフォンアプリ用ライブラリの開発を行います。